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曼殊院の所蔵宝物
紺紙金泥般若心経
紺紙金泥般若心経(未公開)
重文 紺紙金泥般若心経 後奈良天皇御筆(未公開)

写経というのは仏教の経典や祖師の語録を写すことであるが、それらの行いにはそのひとのねがいや祈りがこめられているといえる。この写経も紺色の別すきの紙に、金の色彩の絵の具で書写したもので、その文字のすばらしさには感心する。後奈良天皇の御筆になり、天文10年(1541)全国66ヶ国にこの般若心経の奉納を思い立たれ、そのうちのひとつ安房の国、今の千葉県に納められたものらしく、末尾に安房国とある。全国に現存している7つのうちのひとつであるが、この天皇の御在世中に、天災、飢餓、疫病が流行し、また皇室もそのくらしが不自由であったと聞く。それらのことから、万民のしあわせを念じての写経であったらしく、奥書の願いの一文が心をうつ。


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